市長施政方針
令和7年度施政方針
始めに、昨年は、元日の能登半島地震をはじめ、日本各地で発生した台風や豪雨など、数多くの自然災害に見舞われ、改めて自然の恐ろしさを実感する年となりました。
能登半島地震により被災された輪島市には、現在、本市職員を派遣しておりますが、本年においても引き続き、国や愛知県、関係機関などと調整しながら、職員を派遣し、できる限り支援してまいります。
また、本年には、南海トラフ巨大地震の発生確率が引き上げられたことから、甚大な被害を常に想定内としたうえで、近年、激甚化・頻発化する自然災害等への備えと合わせて、防災・減災対策を更に推し進め、他自治体や関係機関との連携強化等に取り組んでまいりたいと考えております。
さて、社会経済情勢に目を向けますと、物価高、賃上げの動きが加速しつつあり、これまでのデフレ経済からの脱却に向け、大きな転換期となる兆しが見られています。国におかれましては、デフレ経済から脱却し、物価上昇を上回る賃金上昇による「成長型経済」への移行を進めることで、成長と分配の好循環の流れが期待される一方で、人手不足や物価上昇などの大きな課題に直面しております。地方行政では、「新たな地方創生(地方創生2.0)」において、自治体自らの創意工夫により、地域の特性を生かした取り組みが求められております。
本市では、物価高への対応、少子高齢化や人口減少への対策、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)、防災・減災対策、脱炭素社会の実現、インフラ及び公共施設の老朽化への対策など、様々な課題に対し、迅速かつ的確に対処するとともに、あわせて財政の健全化を推進していく必要があります。
このような中、令和7年度予算は、依然として多額の基金を取り崩さざるを得ない厳しい財政状況であるという危機感を改めて認識し、限られた財源を「選択と集中」で有効的に活用するため、中長期的視点に立ち真に必要な施策について、編成いたしました。
それでは、令和7年度の主要な施策について、「第2次あま市総合計画」で設定いたしました7つの基本目標ごとに、概要を説明させていただきます。
第1の目標「安全で安心に暮らせるまち」に関する施策です。
防災対策では、南海トラフ巨大地震等の大規模災害に備えるため、国の令和6年度補正予算を活用して緊急的に購入する、屋内用間仕切りテントや簡易ベッドに加えて、非常食等の防災資機材を計画的に購入することにより、備蓄の充実を図ってまいります。また、引き続き、無線基地局や屋外拡声器等を公共施設等に設置し、防災情報を速やかに一斉伝達できる環境を整備してまいります。さらに、既存建築物の耐震診断や耐震改修等に対し、予算を増額し、安全で安心できる住まい・まちづくりを推進してまいります。
防犯・交通安全では、引き続き、児童・生徒や高齢者に対し、自転車乗車用ヘルメット購入費の一部を補助することにより、交通死亡事故件数の減少を図ってまいります。
第2の目標「都市基盤と環境が整った快適なまち」に関する施策です。
都市基盤対策では、社会資本整備計画に基づく都市計画道路木田駅前線及び安松鷹居線の整備を継続的に進めてまいります。また、生活道路における安全対策についても、引き続き、市道の機能を充実させるとともに、学校や警察署等と連携し、あま市通学路交通安全プログラムに基づき、通学路の安全対策を実施してまいります。
環境対策では、市内公共施設28施設の照明機器について、省エネルギー性能の高いLED照明に更新し、省電力化や温室効果ガスの削減を図ってまいります。さらに、国の補助金を活用し、新たに宅配ボックスの購入設置費の一部を補助することにより、宅配物の再配達に係る配達事業者への負担軽減及び脱炭素社会の実現を図ってまいります。
第3の目標「心身ともに健康で、いきいきと暮らせるまち」に関する施策です。
健康づくりへの取組みでは、予防接種事業として、新たに、65歳以上の高齢者を対象に、帯状疱疹ワクチンの定期予防接種を実施します。また、地域医療として、あま市民病院における良質な医療サービスの提供を図るため、医療機器の更新を計画的に進めてまいります。
地域共生社会の実現では、地域で生活する障がいのある人への相談支援の中核的な役割を担う、基幹相談支援センターを設置し、相談支援体制の充実を図ってまいります。また、認知症高齢者等が事故等で損害賠償責任を負った場合に備え、個人賠償責任保険に係る保険料を市が負担し、高齢者やその家族が安心できる生活環境を整えてまいります。
学び続けられる環境では、生涯学習として、国の補助金を活用し、美和・甚目寺テニスコートにおいて、老朽化したナイター照明設備を改修し、スポーツ環境の充実を図ってまいります。また、本市ゆかりのアスリートのパリ2024オリンピック競技大会での活躍を称え、スポーツをより身近に感じてもらえるよう、スマートフェンシング体験会を開催いたします。
第4の目標「次代を担う人を大切に育てるまち」に関する施策です。
子育て環境の充実では、幼児教育・保育として、子育て世帯の経済的な負担軽減を図るため、保育料の無料化について、令和7年10月より現在の第三子以降から第二子以降に拡充します。また、私立認定こども園等が実施する病児保育事業や、国の「こども未来戦略」に基づき、未就園児を対象に令和8年度から実施予定の「こども誰でも通園制度」に要する費用を補助することにより、様々な保育ニーズに対応してまいります。また、子育て支援として、放課後児童クラブを利用ニーズが多い夏季学校休業期間について増設します。さらに、令和8年度から、全ての放課後児童クラブの運営について、民間事業者への委託に向けた準備を進めてまいります。
教育環境の充実では、学校教育の支援体制として、休日部活動の地域移行に向けたモデル事業を実施するため、部活動指導員やクラブチーム等との相談・連絡調整を行うための部活動地域連携推進員を配置し、生徒のスポーツ・文化芸術活動における環境充実に向けた学校と地域の協働体制を構築してまいります。さらに、物価高の影響により値上がりが続く給食材料費の一部について、国の交付金を活用し、保護者負担の更なる軽減を図り、安全安心で栄養バランスのとれた学校給食を提供するとともに、引き続き、オーガニック食材を活用した学校給食を実施してまいります。
学校教育環境では、児童生徒のICTを活用した学習環境の充実を図るため、令和8年度からのタブレット端末更新に向けた準備を進めるとともに、小中学校のICT利用教育をより効果的に実施するためのサポート業務を拡充します。また、国の令和6年度補正予算を活用し、小中学校特別教室の空調設備等を計画的に整備し、安全で快適な学習環境の充実を図ってまいります。
第5の目標「自らの力で歩み続ける、活力あるまち」に関する施策です。
地域産業の活性化では、商工業の振興として、市内で起業を目指す方に対し、創業に必要な知識や実務を学ぶ機会として、引き続き、「AMA創業塾」を開催します。また、新たに卒塾者等に対し、創業開始当初に要する費用の一部を補助することにより、新規創業者の支援体制を強化し、地域の活性化に繋げてまいります。さらに、物価高により厳しい状況にある市内事業者の支援と地域経済の活性化を図るため、国の補助金を活用し、キャッシュレスポイント還元事業を実施し、個人消費の喚起やキャッシュレス化による商業活動を推進してまいります。また、農業振興として、適切な湛水防除を図るため、引き続き、排水能力が低下している農業集落排水施設などの整備を計画的に進めてまいります。さらに、観光振興として、引き続き、民間事業者に対して「尾張七宝」花瓶を貸し出す七宝焼街角ミュージアム事業を実施し、七宝焼の認知度を高めてまいります。
また、歴史・文化遺産の活用では、国の重要文化財「甚目寺南大門」等の保存修理に係る費用の一部を補助し、文化財の活用・保護を推進してまいります。
第6の目標「持続可能な行政運営を推進するまち」に関する施策です。
持続可能な行財政改革の推進では、行政のデジタル化として、引き続き、基幹業務システムから標準化対応システムへ移行するための環境を構築することにより、行政手続きのデジタル化や行政運営の効率化を推進してまいります。
広報・広聴の充実では、情報提供・情報公開の推進として、市民への情報発信や行政手続きを円滑に行うため、市公式LINEにおいて、市が発信する情報の受信選択が可能となる配信機能等の追加により、機能強化を図ってまいります。また、引き続き、市公式インスタグラムなどのSNSを有効活用し、本市の魅力や公式行事などの情報について市内外に広く発信してまいります。
第7の目標「交流と連携により成長するまち」に関する施策です。
協働のまちづくりでは、市民協働として、市民活動の拠点となる市民活動センターを継続して運営し、市民活動団体を支援するとともに、「協働のまちづくり」を実践する多くの担い手づくりに力を注いでまいります。
人権尊重のまちづくりでは、人権施策として、引き続き、人権講演会を開催し、さらなる人権教育及び啓発を進めてまいります。
以上、令和7年度の主要な施策について、申し述べました。
令和7年度当初予算案につきましては、一般会計で総額354億1千万円、特別会計は4会計合計で179億1,351万5千円、企業会計は4会計合計で63億6,836万1千円といたしました。
このうち、一般会計の予算規模は、令和6年度当初予算と比較し、4.9%増となり、令和4年度に次ぐ2番目の予算規模になりました。
歳入において、市税では、個人所得の増加などを見込んだことから、前年度から8億8千万円余の増収としております。
普通交付税では、地方財政計画や今年度実績などを踏まえ、2億5千万円の減収、また臨時財政対策債につきましては皆減となります。
一方、歳出において、義務的経費では、職員及び会計年度任用職員の給与改定に伴う人件費の増加、自立支援介護給付費等事業費や児童手当費など扶助費の増加により、前年度を約16億5千万円上回る188億9千万円余りとなります。
また、投資的経費では、旧庁舎や七宝産業会館の解体工事の完了により事業費が皆減すること、また木田駅周辺整備事業費の事業量が減少することなどにより、前年度比約5億9千万円下回る22億3千万円余りとなります。
令和7年度予算編成では、市税が増額となる一方で、人件費や扶助費などの義務的経費に加え、物価高の影響による物件費の増加に伴い、財政調整基金からの取り崩しにより収支の均衡を図り、あま市の未来づくりに必要と考えられる施策に予算計上をさせていただきました。
依然として厳しい財政状況にありますが、今後も、引き続き、行財政改革などに不断に取り組み、執行過程においても、継続的にコスト縮減を進めてまいります。
昨年は、能登半島地震など痛ましい出来事もありましたが、本市では、パリ2024オリンピック競技大会において、本市ゆかりのアスリートが金メダルを獲得するという、喜ばしい出来事があった年でもありました。
優れたアスリートの多くは、天から授けられた才能とその才能を磨く日々の努力を重ねられる能力、さらに変化への高い適応力を持っておられると感じております。
本年の干支である「巳年」は、大きな変化や再生をもたらす年と言われており、とりわけ本年「乙巳(きのと・み)」は、努力を重ねて変化を繰り返しながら発展していく年とも言われております。
日本の少子高齢化や人口減少社会の到来により、地域社会の持続可能性についての危機意識が急速に高まる一方で、人々の価値観やライフスタイルは多様化しており、行政需要は「複雑化・多様化・高度化」しています。
これらの状況変化に柔軟に対応し、次世代に継承できる、あま市の未来を創り上げていくためには、新たなステージに向け挑戦し、変革していくことが求められております。
社会経済状況が目まぐるしく変化する中、第2次総合計画の将来像に掲げる「ずっと大好きなまち、あま」の実現に向け、計画に掲げた各種取り組みを着実に進めてまいります。また、本議会においては、「安全・安心・快適なまちづくり」に向け、都市基盤整備を継続的かつ安定的に切れ目なく推進するため、その財源として都市計画税を導入する条例案をご審議いただきます。
将来にわたり市民の皆様が愛着・誇りを感じることのできるあま市の未来を市民の皆様と「ともに想い」、努力を重ね、変化を繰り返しながら「ともに創る」ことが必要と考えております。
そのためには、私を先頭に職員一丸となり、市の組織を挙げて全力を尽くしてまいりますので、市民の皆様、そして議員各位の一層の御理解と御協力を心からお願い申し上げ、私の施政方針といたします。
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